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落葉記 | 折節の思い・記録

Essay

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能に携わる中での日々折節の想いや、知ったこと、知って頂きたいことなどを木々の梢からはらはらと舞い落ちる1枚1枚の葉のように書かせて頂きます。それで「落葉記(らくようき)」と題します。

2023年5月9日

久し振りの投稿。
度々同じ文句を繰り返して恥ずかしいですが。TORAI DSGINSの方の献身的なご努力、そして面の画像は、ご宗家の有難いご理解を得て掲載することができ、全く新しい公式ウェブサイトとなりました。これで今後更新を怠けては、バチがあたるでしょう。

さて、7日は、由緒ある静岡市臨済宗総本山臨済寺本堂にて徳川家康の盟友(私の記憶故、定かではありませんが)今川義元公の追善能でした。臨済寺は今川家の菩提寺なのです。 御本尊の真ん前には、古びある金屏風に描かれた堂々たる老松。ご住職のご意向で、この度の能・狂言上演の為に京都の日本画家の方にわざわざ描いて頂いたのだそうです。 舞台は、黒光りする、これも古色蒼然たる板敷。これもこの度わざわざ誂えたのだそうです。そして、正面先最前列中央には、今川義元公とその兄君?弟君?の、これはお寺に古くからある、極彩色の等身大の二体の木像が、舞台をキッと見つめている!
見所は、御本尊を背にして、舞台右手、正面、左手つまり、私ども地謡座の真後ろも含め、三方をぐるりと椅子席が囲みます! 開け放った周囲の障子の外には広々とした縁側(回廊)。その向こうには、みずみずしい新緑に覆われた山腹の景色が!
開場前にこの光景を写メに収めようかと一瞬思いましたが、それは何か不謹慎な気がして、できませんでした。せめてと思い、楽屋に誂えられたお座敷から写した、僅かばかりの目の前の光景を、近ゞfacebookあたりでお披露目しようかと思います。
それにしても、このような機会を得させて下さった大藏教義さんに心から感謝するものです。これも阿佐ヶ谷神明宮奉納迎春能にての長い御縁の賜物かと忝くかつ有難く思います。
近頃、このほかにも記したいことは山ほどありますが、あれもこれもでは、お読みになる方の印象も却って薄くなることでしょう。
心よりお伝えしたいと思う中の一番の事でした。

それにしても、タクシーを降りた山門から、本堂のある山の斜面に広がる伽藍までの山道は、舗装されて緩やかながら、足腰悪い私には、いやぁきつかった!!

2022年10月4日

4年半振りの随想再開です。「落葉記」と題します。
つい先日、花瑶藤琳会秋の会を終え、会員の皆さんはほっとしている事でしょう。私も、ひとつ大きな催しを成し終えた気持ちです。
この4年の間に、コロナ禍が世界を覆い、社会不安が人々を襲い、政治の腐敗が、それに輪をかけ、そのうちプーチン・ロシアによる殺戮と破壊のウクライナ侵略戦争が始まり、その影響で、世界はエネルギー危機、食糧危機、物価高に喘いでいます。
私達の現実はと言えば、色々複雑な要因により、労働力不足、経済不安、諸活動の停滞、芸術・文化活動の減少すなわちそこに携わる人々の生活が脅かされる……そんな暗いことばかりの世の中になって来ています。
こと芸術・文化活動に関しては、中高年層が生活に追われて余裕を無くす状況の中、ご高齢の方々に支えられて辛うじて息が保たれているような危うい状況です。
花瑶藤琳会にも、その傾向は否定しがたく、会員数は激減。春・秋の会も年々寂しくなっています。

しかし、そんな時だからこそ!顔を上げ、歩を進めねば!と、ホームページのリニューアル再開を決意したのが、今年5月です。
始めはネットアプリを利用して、独力で取り組みましたが、努力の甲斐無く、半ばでギブアップ。
やはりプロの手を借りねばと決意し、協力して下さることになったのが上田氏です。
もう少しで、公開です。
格好を付けて「工藤 寬 公式ウェブサイト」と名付けましょうか。
皆様の目に触れてどんな感想を頂けるか楽しみです。

2018年4月9日

しばらくぶりの「近況雑感」にて恐縮です。誠に遅ればせながら、昨年12月2日の「工藤寛第20回能楽公演~天地人花の会 其ノ八~『雪 雪踏之拍子』」にご来場下さった皆様、ご支援下さった皆様、ありがとうございました。健康面の不安もあり、自主公演は今回をもちまして終了と致しますが、これまで種々お力添え賜りましたことに、 心より感謝申し上げます。

東京金剛会ではこれまで通り年1回の能のシテ、仕舞を勤めさせて頂きますので、皆様に良い舞台を見て頂けるよう、継続して研鑽を重ねて参ります。

その他、幸いにも多くの舞台に地謡・後見として出演の機会を頂いておりますので、一つひとつの舞台に心血を注いで参ります。

自主公演は行わなくとも、「能の研鑽・伝承・普及に励む」というこれまでの方向は何一つ変わるところはありませんので、今後も、ご支援ご後援の程、お願い申し上げます。

2017年9月11日

「工藤 寛第20回能楽公演 天地人花の会~其ノ八~」のチラシが完成しました。トップページ右スペシャル・スペースに掲載しました。20回記念ということで、宗家若宗家のご出演を仰ぎ、久し振りの昼公演です。私は、能「雪 雪踏之拍子」を勤めさせて頂きます。初めの予定では、二度目の「道成寺」を、小書「古式」にて勤めさせて頂く予定で、昨年公演のチラシにも予告していましたが、健康上の理由により、残念ながら曲目変更させて頂きます。「道成寺」を楽しみにして下さった方も多く、誠に申し訳なく思います。しかし、金剛流のみの「雪」、心して勤めさせて頂きますので、皆様ぜひお越し下さいますようお願い申し上げます。

宗家には仕舞「実盛 キリ」、若宗家には舞囃子「邯鄲」、大藏吉次郎師には雪に因んだ大曲「木六駄」をそれぞれお勤め頂き、三役も、人間国宝に認定されたばかりの小鼓方大倉流宗家大倉源次郎師をはじめ、笛方一噌流宗家一噌庸二師、観世流太鼓方の実力者小寺佐七師、ほかには新進気鋭の方々の配役にて、通算20回記念にふさわしい充実した番組と自負しております。

これを機に、健康の回復に努めつつ、皆様に喜んで頂ける舞台作りにより一層励んで行くつもりでおります。

この公演に先立つ10月29日(日)には、花瑶藤琳会の生徒さんの秋の発表会があります。こちらの番組作りも着々と進んでいます。次回更新時にはご紹介致します。今から皆さんの熱演を期待しているところです。

2017年8月27日

26日(土)拙宅舞台にて、夏恒例の「納涼謡い会」を行いました。自由参加でこじんまりと「仕舞地謡」18番を5グループに分け代わる代わる連吟。題して半歌仙納涼謡い会。ほかに各自選曲の独吟。これも仕舞部分の謡から決めて頂きます。

仕舞の謡には、その曲のエッセンスが詰まっているので、これをしっかり謡うことはとても勉強になります。そこで必ず話すのは、節(メロディー)を正しく謡うのが大前提。その上に、調子・位・吟(声の色とでも言いましょうか)、さらに緩急、強弱、間を考えながら謡うことで、その曲の謡になって行くということ。全曲、私が後ろに付きますから、その私の声に耳を澄ましながら謡って頂きます。私も勉強。

独吟は、皆さん、冷や冷やもののようです。しかし、第一の課題の、節(メロディー)を正しく謡うことは、昨年までの納涼謡い会より一歩上達した感があり、少しずつ成果が上がっているようです。

終わって、阿佐ヶ谷薪窯ナポリピッツァ・イタリアンにて打ち上げ。美味しいお料理とお酒に舌鼓を打ちながら、お一人おひとりの反省感想の弁を聞きながら、時間を忘れて楽しくおしゃべりおしゃべり。

2017年8月15日

この夏は、足腰の具合が今一つのところ舞台が少ないので、これ幸いに、だらだらと安静療養と読書・音楽鑑賞・TV視聴に明け暮れる堕落した生活(苦笑)。

そんな中、7月21日は、能楽協会東京支部主催「納涼能」で、宗家の仕舞「半蔀 クセ」の地謡。冒頭は良かったのが、「南無当来導師、弥勒仏とぞ」で高音になる辺りから、徐々に喉が枯れ始め、アゲハの後はもうガラガラ声でした。「喉に力を入れないでお腹でお腹で」と言い聞かせながら謡ったものの、散々な体たらくで、言葉もありません。足腰の不調緩和のためのステロイド注射と薬と、舞台にその副作用による支障が出ないように、兼ね合いをいかに工夫するか、難しいところです。

8月3日は、やはり東京支部主催の子供たち対象の普及活動「さわってみよう能の世界」のお手伝い。こちらは謡わなくて良いので、安心して受付、その他補助、保護者の方からの質問対応。ある保護者からの熱心な質問に答えていたら、笛体験の順番待ちをしているそのお子さんが後ろを振り返って「お母さん、何話してるの!うるさいよ。私もう足が痛いよ!」とお怒りの様子。「ごめんごめん。静かにするね」と、注意する側が注意されて平謝り (笑)

終わってから、この母子に記念にと望まれて仲良く写メに収まったのでした。

2017年6月12日

6月10日は国立能楽堂普及公演で、当流今井清隆師の「半蔀」。私は後見。

装束着けや作り物藁屋の出し入れ、半蔀戸を押し開けるつっかえ棒の受け渡しなど行います。つっかえ棒は2本継ぎの差込式になっていて、舞台上で1本につなぎ合わせます。竹なので、手元が狂って舞台に落としでもしたら、カランコロンと高らかに響き渡り、下手すると転がりますから!!結構気を遣います。

今回に限らず、後見というのは装束、作り物、舞台上の立ち働きと、大変細やかな気遣いが必要な役どころです。舞台上を移動することもありますから、立ち居振舞いにも、邪魔にならず手際良く、美しく作業することが求められる、誠に厄介なお役と言って良いかも知れません(私にとっては)。無事に終わると、それはそれはホッとするものです。

今週は、翌11日に東京金剛会同人の山田純夫氏主催の潤星会があり、こちらは仕舞「八島」と、宗家の舞囃子「東北」の地謡を勤めさせて頂きました。私が足腰不調なのをご存じなので、能の地謡や後見を外して下さったような気がします。主催者に感謝です。

特記すべきは、裃で仕舞を舞わせて頂いたこと。初めてです。舞裃の持合せがなかったので、山田氏のをお借りしました。大変上等な品で、気持良かったです(笑)これも、主催者に感謝。

私のこの度の舞裃での「八島」、遠からず、このホームページ上でもアップ致します。お楽しみに。

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